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【インターアクト部】沖縄合宿報告

2024.08.04

本年度より発足しました、インターアクト部は7/277/30の期間で沖縄に合宿に行ってきました。インターアクト部では、「よりよい社会の構築」を目指し、ボランティアや課題解決コンテストなどに取り組んでいます。今回の合宿では「平和学習」をテーマに、広島進徳女子高等学校の生徒と一緒に事前学習から協働で実施いたしました。 

1日目は夕方に到着し、沖縄の郷土料理を楽しみました。2日目の午前中は2019年の火災で焼失し、現在復興再建中の首里城を視察しました。午後からは広島進徳女子高校のみなさんと合流し、平和記念公園へ移動しました。事前にそれぞれの生徒がテーマを決めて学習をしてきましたが、実際の証言や戦地の写真、当時使用されていた服や日記などを目の当たりにし、沖縄陸上戦の悲惨さが現実のものとして感じられ、皆息を飲んでいました。

その後、ひめゆりの塔へと移動しました。今回の参加者と年が変わらない女学徒たちが、負傷兵の看護や時には助からないと判断された兵隊に青酸カリが混入したミルクを飲ませざるを得なかったこと、さらに捕虜になるくらいならと集団自決を決行したり、ガマ内で米兵の襲撃に遭い命を落とした女学徒らの歴史を学びました。 

その日の夜は那覇中心部に移動し、翌日も学びを共にする進徳女子の生徒たちと沖縄郷土料理屋にて親睦を深めました。まだ出逢って少ししか経たないうちに、共通の話題や地域性の違いに注目して話を広げる生徒たちの姿が印象的でした。 

3日目は朝から糸数アブチラガマ()へ移動しました。このガマは全長270mで負傷兵や軍医、ひめゆりの学徒隊や地域住民で埋め尽くされました。壕内は電気も通っておらず、真昼間であっても懐中電灯を消すと完全な暗闇となり、平時ですら恐怖を感じました。当時は食料もなく、容易に外に出ることもできずに、数えきれないほどの負傷兵や市民が壕内で息絶えた場所でもありました。ガイドの方の説明とともに当時の生活に思いを馳せながら、各々が戦争と平和を考える機会となりました。

 糸数アブチラガマのあとは、旧海軍司令部壕を訪問しました。ここは戦時中、海軍司令部として使用されていた場所で、多い時は約450mの壕に4,000人以上の兵士が収容されていました。戦禍が悪化する中、ここで命を落とした兵士も少なくありません。また、壕内には、幕僚が自決の際に使用した手榴弾の痕跡が生々しく残っていたり、司令官であった大田少将が拳銃で自決した部屋が当時のまま残されていました。今はがらんとひらけた壕内の廊下ですが、負傷兵や疲弊し切った兵隊達で埋め尽くされていた時の頃を想像し、思い思いに考えをめぐらせていました。

 その後、宜野湾市の佐久眞美術館を訪れました。この美術館のすぐ横は一面フェンスで覆われていることに気づきます。実はこの場所、1994年までは普天間基地の中にありました。1972に沖縄返還がなされますが、普天間には米軍基地が残ることになり、美術館の場所も館長の佐久眞さんの土地でしたが長らく返還されていませんでした。長年の両国政府への働きかけの末、戦禍を伝える美術館ならばと、この場所だけが返還されたのでした。館内には沖縄戦の様子を伝える絵画や彫刻が展示されており、館長の佐久眞さんご自身による解説をいただきました。屋上からは普天間基地を眺めることができ、文字通り基地が市街地と隣り合わせになっている状況を目の当たりにしました。 

美術館のあとは宜野湾市立博物館に移動しました。そこでは、沖縄尚学高校で白梅学徒隊の継承活動に取り組まれている地域研究部の部員の皆さん、広島進徳高校、桜丘高校の生徒が集まり、戦争体験を継承することの意義や平和な社会構築について意見を交わしました。

地上戦を経験した沖縄、原爆被害に遭った広島、そして東京大空襲を経験した東京。来年で戦後80年になりますが、それぞれの土地の歴史を学んできた現在の高校生たちがアジア・太平洋戦争をどのように記憶し継承するのか。そして、その記憶を今日の社会にどのように投影するのか。約1時間半という短い時間ではありましたが、普段会うことができない同世代と膝を突合せることで、活発な議論と普段の学校では出来ない多くの気づきや学びがあったようです。どうかこのような活動を今後も継続的、発展的に行えたらと思います。 白熱した議論のあとはアメリカン・ビレッジに移動し、進徳女子高校との最後の思い出作りの時間としました。 

普段、忙しい日々を過ごしていると、その土地の歴史や社会についてじっくりと考えることが少ない昨今かと思います。一方、今日の社会は地球、国家、地方それぞれの次元で前例のない社会課題が山積しており、一人一人が「社会」に目を向け、社会参画することの重要性がこれまで以上に高まってきています。インターアクト部では、まさに「よりよい社会とは何か」という根源的な問題を熟議し続け、実際に行動に移すことを後押しする機会提供の場になれればと思っております。今回の沖縄への研修は、事前学習から始まり、実際に現地を訪れ五感で感じ考え、広島進徳女子高校、沖縄尚学高校の同世代の高校生と意見を交わすことで、「戦争と平和」というテーマがこれまで以上に自分事として感じられたのではないかと思っております。インターアクト部では、今回のテーマ以外にも、地域創生や格差と貧困、ジェンダー問題、グローバリゼーションなど幅広い分野について考え活動して参りますので、今後の本部の活動をご支援・ご期待いただけますと幸いです。