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校長メッセージ<師走>

「キープ オン ゴーイング」   ― 前に進み続けよう!―

今年もいよいよ1年の最後の月「師走」を迎えました。学校の年度は3月が年度末ですから、最後の締めくくりは年明けからになります。それでも年の瀬を迎えると、この1年はどんな年だったろうかと振り返り、来年こそはとの希望や夢を持つのは、誰もが新たな年がよりよい年になることを願う気持ちからかもしれません。

さて、この1年間を振り返るとやはり色々な事が浮かんできます。特に「人生100年時代」と言われ、その生き方が何かと注目されています。そのような中で、特に印象に残っているのは、ご自身が105歳を迎えられた日野原重明先生(1911~2017)の渾身のメッセージでもある『生きていくあなたへ』です。この本は対話形式で綴られています。その中で「どうしても遺したかった言葉」から、その一部を紹介することで、若い皆さんとその意味や大切さを一緒に考えることができればと思います。

 

日野原先生は長年、命の尊さを伝えることを使命として、「命の授業」というタイトルで、全国の10歳の子ども達と交流してきたそうです。君達は、毎日朝ごはん食べて、学校に来て勉強して、友達と遊んで……。これは誰のためにしていると思う? すべて自分のためだよね。君達は、子どものうちは与えられている時間を全部自分のために使いなさい。だけれども君達が大人になったら、その時間を他の人のため、社会のために使わないといけない。そう気づく時が必ず来るよ。そう話かけるそうです。日野原先生は大人でも簡単に説明できない本質的なことを、分かりやすくぶれずに伝えてくれています。命はなぜ見えないか。それは「命は時間」だからなんだよと。死んでしまったら自分で使える時間もなくなってしまう。だからこそ一度しかない自分の時間、命をどのように使うかしっかり考えながら生きる。またその命を今度は自分以外の何かのために使うことの大切さに気付かせてくれています。

次の言葉は、「大切なことはすぐにはわからない」です。日野原先生が人生で一番悲しくて泣いたのは、旧制第三高等学校、理科甲類(甲類は医学部進学コース)に落ちた時に一晩中泣き続けたそうです。ところが合格発表をみてくれた先輩の何かの間違いで、実は合格していることがわかったそうです。そのことが翌日知らされた時の嬉しさは人生で最高のものだったと。この経験から一つのことを学んだと言っています。悲しみと喜びというのは、コインの表裏のようにくっついている。夜が暗ければ暗いほど、朝の光がまぶしい。冬が寒いほど、春の優しさが身にしみる。人生には、つらく悲しい出来事や、思い通りにならないことがたくさんあります。むしろその方が多いかもしれないと。泣きたくなったそんなときは、その気持ちに素直になって、思う存分なくことが大切なのだと。そう言ってくれています。泣いて、泣いて、自分の中の悲しみや悔しさと向き合えば、その先には必ず、本当のよき訪れが待っていると。本気で泣いた経験がある人は、人の痛みをしることができ、傷ついている人にただ寄り添ったり、励ましの言葉をかけたり、そんな慈愛の心が育まれていくことになると、これはとても尊いことのように思います。

さらに日野原先生は、100歳を超えたご自身の人生を「未知なる自分との出会い」そのような前向きな言葉で語られています。もし自分が若々しいと言われるのだとすれば、その一番の原因は、常に新しい自分との出会いを大切にすごしているからではないかと。実は先生は子どもの頃は、体が弱く、病気がちだったそうです。しかし、病は自分にたくさんのことを教えてくれたと。そして、病や苦難によって、新しい自分をみつけたら、その恵みを受け取ると同時に、過去の自分の皮を脱ぎ捨て、常に「キープ オン ゴーイング」(前に進み続けよう)。若々しさの秘訣にもつながる大好きな言葉だそうです。

 

私が日野原先生のご講演を直接拝聴する機会を得たのは、今から8年前の夏のことでした。100歳を目前にしたご高齢でありながら、演台からではなく私たち参加者の最前列間際で、椅子を利用されることもなく、ずっと立たれたままの状態で約1時間、よどみなく「命の授業」のお話をしてくださいました。周囲には医師の方々がスタンバイされていたと後から伺いました。まさに日野原先生ご自身が目に見えない命を象徴されておられるような不思議で尊い経験でした。その日野原先生の『生きていくあなたへ』のメッセージを「どうしても遺したかった言葉」に重ねて、また生徒の皆さんと一緒に前に進み続けていきたいと思います。

「キープ オン ゴーイング!」

それでは、どうぞよい年をお迎えください。

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